解任
バイエルンミュンヘンがヒッツフェルト監督を解任した。
これを知った時につくづく監督というのは辛い立場だと
思ったし、また現実にそうなのだろう。
ここ3年でプレミアリーグでは2人もの監督が過度の
プレッシャーから心臓疾患で倒れている*1。
6年間でリーグ4回、リーグカップ2回、チャンピオンズリーグ
1回の優勝で何が不満だったのか。フロントとの軋轢は
耳にした事がないので原因はもちろん今季の不振だ。
しかし彼はいくつかのクラブと同様に大量に買い漁った選手で
チームを任されていたにしてはうまくチームをまとめていた。
ただ個人技で強いだけでなく、組織が整備されていた。
同様の状況に犯されたのは他にも2人。レアルマドリーの
ケイロスと、チェルシーのラニエリ。前者もおそらくは
クラブを去り、後者も立場が危惧されている。
バイエルンは急変してしまった。
ドイツ・ブンデスリーガは非常にしっかりとした機構で、
クラブの無理な経営は絶対に許さないその為の監査も行わ
れているため、負債がかさめば(他国リーグにすれば微々
たる額でも)下部リーグ降格などの処置が取られる。
その為、ドイツでは高額な移籍金を伴っての大補強は
もちろんの事、他国のような「超」高額年俸を受け取る
選手はいない。
それがここ数年で世界4位の資産*2を駆使して大量補強を
刊行。当時強豪だったライバルクラブ、レバークーゼン
からバラック、ゼ・ロベルトを獲得するなどスター選手の
収集に走る。
もちろん身の丈にあった範囲ではあるのだが、直接のライバル
から選手を「強奪」するというのは金が掛かったのは容易に
想像がつく。
ヒッツフェルトはそんな外様ばかりが揃ったチームを
うまくまとめていたと思っていたのだが、フロントは優勝
出来なかった(=投資に見合う結果でなかった)事「のみ」が
評価の対象になったらしい。
「責任を負うべき人物はたくさんいるのに、犠牲者は一人
だけだ。もし、すべての犯人がクラブを去ることになれば、
かなりの人数がいなくなるだろう。魚は頭から腐りはじめる
ものだ」
というマテウス現ハンガリー代表監督のコメントは的を
得ている。
ただし
ベッケンバウアーがクラブを離れてからこんな事に
なってしまった
というのは違う。現会長であるルンメニゲは留任の方向
だったにも関わらず、名誉会長のベッケンバウアーが
解任へ持っていったと言われている。
周囲の圧力からこうせざるを得ない
とは言っているが、彼が擁護してさえいれば周囲は
黙ったはずだ。擁護して来季も失敗するような事が
あっては困るという意味で保身に走ったのだろう。
そして彼は今はバイエルンの事よりもW杯を成功させる
事の方が重要なのだろう。
思えばヒッツフェルトは悲運な監督で、97年にはバイエルン
のライバル、ドルトムントを率いてCL優勝したにも関わらず
直後に解任されている。そして拾われたバイエルンでも同じ
ような仕打ち。
人間性に問題がないと言うのはバイエルン、そしてドイツ
代表でも主力のバラックのコメントにも出ている。
「監督は不当な非難にさらされた。試合*3の負け方は尋常では
なかった。ヒッツフェルトはワールドクラスの監督だ。
ヒッツフェルトの解任は僕ら選手のせいだ」