監督と戦術(3と4の違い)Vol.1

サッカーにおいてチームが相手と対峙する場合、
何らかの戦略が必要である。
それは特に守備の面で言える事で、無秩序に
プレーしていてはいくら有能な選手が集まって
いてもうまく機能する事は難しい。選手達を
活かすも殺すも監督(戦術)しだいという訳だ。


横浜M(Fって入れなければダメなのだろうか)の
岡田監督が興味深い事を言っていた。

船体が出来上がっていないのに私が帆を大きく
し過ぎた

そう。基礎戦術はチームの核を占める部分であり、
苦しい時に自然と生きてくるものだ。これは攻撃
にも守備にも言える事。
そこで前節*1の教訓を活かして
もう1度基本を徹底した。それはサイドに追い込ん
でからのボール奪取、そしてそこから速い攻撃へ
つなげるというもの。


これを知った時に思ったのが

4−4−2のチームが行うべき守備の形そのものだな

という事。ここで言う4−4−2は「逆台形(もしくは
ボックス)」に限るがボランチが2枚いる場合は非常に
有効な守り方である。




岡田監督の言うところを個人的に解釈するとこうである。
1.FWが相手DFにサイドに追い込むようにプレッシャーを
かける(絶対にセンター方向に切り返されてはならない)
2.相手SB(もしくはCB)とタッチライン際を並走、
味方のサイドプレーヤーはライン際で待つ。


これでFWとタッチラインで挟んだ相手をサイドプレーヤーが
正面で対峙出来る事になる(=相手はボールを下げるか、
奪われるかの選択しかなくなる)。

       ○=味方
●○     ●=相手ボール保持者
○       タッチライン



この位置で不可能ならば1つ下がった位置、つまり
3.サイドプレーヤーが相手とサイドに追い込んで並走
4.ボランチタッチライン際でボール奪取


もしくは
5.ボランチが並走
6.SBがボール奪取


となる。
1〜2が理想だが実際は3〜4、5〜6が多くなるだろう。
ここで最も重要なのは

タッチラインを味方につけろ

という事。かつて名古屋で指揮したベンゲルが当時
使っていた言葉だ。上記の動きは理論上間違いないと
お分かりいただけるだろう事からも当時の名古屋の
成績の良さにも頷ける。


しかしながら現在このやり方でうまく守っている
チームを見る事は少ないように思う。
1タッチ2タッチが当たり前となった現代サッカーでは
なかなか追い込むのが難しい。従って「理論上は
正しくても」うまく機能しないのであろう。簡単に
真ん中の方へ突破(ボール保持者に限らない)を許す
シーンは増えている。


4バックでやる場合、真ん中は非常に危険である。従って
サイドへ追い込む守り方が基本となるのだがプレミアシップ
などでは簡単に真ん中へボールを運ばせてしまう。
4−4−2が多いリーグでボールが真ん中へ運ばれる回数が
多ければどうなるか。ゴールが多いのは必然であり、
何も攻撃的だとか(確かに攻撃意識は高いが)いう問題で
なくただ単に守備の戦術が徹底されていないのだ。
タレント揃いのイングランド代表が国際大会で成績を
残せないのはそこに問題がある。
だから攻めるけど守れないイングランドよりもつまらない
守備サッカーと揶揄されるイタリアの方が好きだ。

*1:市原3−0横浜M